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| 06:28
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宇宙殺人事件(エピローグ)
俺は元芋虫を殺害した動機を聞こうとした。
冒険王は這いつくばったまま風水師を睨み付けていた。
俺が動機のことを問う前に冒険王が風水師に問うた。
「なぜ、あの時、村を襲った……?なぜ父や母や妹を……、なぜだっ、答えろっ!?」
風水師は冒険王から視線をそらして答えた。
「仕方がなかった。我々の理想の国家建設のためには……な」
「貴様ーッ!」
そう言って冒険王が風水師に襲い掛かったので俺はもう一度真っ二つにした。
観念したように見えて観念していなかったようだ。
これで4分の1になったが命に別条はなさそうだった。{要出典}
「ごめんね」
風水師が謝罪の言葉を口にすると冒険王は満足げに鼻をならしたので、これで事件は解決した。
結局、元芋虫が殺されなければならない理由はわからなかったが、今となってはそれは些細なことだった。
リアル芋虫はというと、冒険王の体をくっ付ける作業をしていた。(言い忘れてましたが冒険王の体はサイボーグだったのです、何故なら冒険は危険ですから)
ちなみにどこかへ行ったと思われた下半身は船長が持ち帰ろうとしてボストンバックに入れていたのを発見された。
俺は傍らにいたコスモスを見た。
「やっと、終わったな……君は家に帰ったら最初に何をしたい?」
コスモスは答えた。
「そうね、私は家に帰ったらまず最初にPCの電源を入れるわ」
「あ、それ俺もだワー」
大団円を迎え、俺は心地の良い達成感を楽しんでいた。
そして俺達を乗せた青春の箱船はひろいひろい宇宙を漂うのだった。
いつまでも……、いつまでも……。
(おわり)
| 宇宙殺人事件
| 13:49
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宇宙殺人事件(解決編1)
「最初から殺害方法はわかっていたのです、しかし誰がそれを実行したのかわからなかった」
そう、俺には誰はやったのか皆目見当が付かなかった、あれを目にするまでは……。
「そこで逆に考えることにしたのです、それを【実行しうる人物】こそ犯人だと。」
「そう考え皆さんを一人づつ消去法で頭の中の容疑者リストから排除していったとき、一人の人物しか残らなかった……」
俺はそいつを見据えながら言った。
「残念ながらあなたです、冒険王・スラングフルさん」
冒険王は顔を丸く歪めながら反論した。
「俺が犯人だとっ! 証拠はッ!?」
俺は心底残念な気持ちになった。もうこの勝負は決しているのだ。冒険王のあがきなど見たくはなかった。
「証拠は……あなたが手に持っている重力ノコギリです。他の人は凶器になるものを持っていない。またコスモスが持っている光子力カッターでは小さすぎて人間を切断することは到底できません。残るはあなたしかいないのです」
ギギギ、という唸り声が冒険王の口から漏れた。
「なんてことじゃ……」
「この野郎……」
「一体、何故? なぜ元芋虫さんを殺したの?」
皆の目には批難や哀れみといったものが混じっていた。
冒険王はがくっと膝をついて肩を震わせていた。
俺はこの事件の幕引きをしようとしていた。
しかし……。
「グォオオオオオオオオッ!!」
突然冒険王がノコギリを手に襲い掛かってきた。
「危ない!」とコスモスが叫び終わった瞬間には、既に俺はノコギリの攻撃をぬるりとかわしていた。
そして右手に持った光子力カッターで彼を真っ二つに斬り捨てた。
まさに刹那の早業であったので皆が喝采した。
「お見事!」
床に倒れた冒険王の上半身(下半身はどこかへ行ってしまった)は命に別条はなかったが虫の息だったので観念したようだった。{要出典}
| 宇宙殺人事件
| 11:52
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宇宙殺人事件(その21)
「わかったよ……誰が犯人か」
俺が呟くと皆は顔あげて食ってかかった。
「え、本当なの!?」
「一体、誰がやったんだ!」
「くわしく」
説明を求められた俺は説明をしようとしたがその時、玄関のチャイムがなった。
「今晩は〜、花代貰いに来ましたァ」
青年団の連中だ。
無論、花代といっても花を買う費用ではない、飲食費、すなわち連中の飲み食いのお金を集めて回ってるのだ。
うちはちゃんと町会費も払っているし、そんな事に出すお金は一銭も無かった。
「今、取り込み中なんだ、帰ってもらいなさい」
俺はコスモスに言った。
はぁい、と返事したコスモスが玄関先でその旨を伝えると青年は頭を下げた。
「サーセン」
こほん、と咳払いをして俺は今回の事件の全貌を語り始めた。
| 宇宙殺人事件
| 00:10
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宇宙殺人事件(その20)
コスモスは俺の持っているカッターを指さした……と思って一瞬身を固くしたが、意外なことに彼女が差した指の方向はまっすぐにスラングフルに向いていた。
「な、なにを言うんだコスモス」
動揺する冒険王の手には刃物のようなものが握られていた。
ささっと芋虫が近寄って確かめる。
「これは新型の重力ノコギリのようですね」
冒険王の顔が四角く歪んだように見えた。
巨大な密室ともいえる宇宙に浮かぶ船に五人の乗員・乗客。
風水師の爺さん、英国兵の霊と会った元芋虫、UFOを見たコスモス、冒険王スラングフル、リアル芋虫、そして年齢不詳の船長。
その中で起こるべくして起きてしまった殺人事件。
三十秒の暗闇、光子力カッターを持っていた俺とコスモス、重力ノコギリを持っていた冒険王。
そもそも何故我々は一箇所に集まっていたのだろう。
宇宙船が技術的なトラブルで漂流するはめになり、怪談でもしようという話になったからだ。
技術的なトラブル?いや、その詳細を知っているのは殺された元芋虫を除けば船長だけだ。
本当にトラブルだったのかどうかも、乗員ではない俺達には知りようがなかった。
そして……最初に怪談をしようと言い出したの誰だ……?
私は電撃が体を貫いたように閃き……そして……この殺人事件の真相に辿りついたのを感じた。
| 宇宙殺人事件
| 21:29
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宇宙殺人事件(その19)
俺も人の子、こんなことで捕まるのは真っ平ごめんだ。
とりあえず罪をこいつに擦り付けておこう。
どこの立ち位置をご所望か、と聞かれれば俺は「セーフティ」と答えるタイプなのだ。
「どうしてそんな事を言い出すの?全く馬鹿げてるわ。タメイキ」
コスモスが果敢に反論したので俺には証拠を提出する必要があった。
ちょっと困ってコスモスを見ると彼女の手元にキラキラと光るものが見えた。
「それはなんだい?」と俺は詮索すると彼女はキラキラを後手に隠したので俺は前手にして無理やり暴いた。
「新発売の光子力カッターじゃないか」
皆がどよめく。なんだこいつも持ってたのか、俺はかなり閃いたので名推理を披露した。
「おそらく君は暗闇の間、暇だったからこれを使って元芋虫を切ってしまった。違うかね?」
彼女は青くなってかぶりを振った。
「違います!」違うか。
捜査らしきものは全くの暗礁に乗り上げてしまったかのように見えた、が次のコスモスの一言で様相は一変した。
「あなたが持ってるそれはなんですか!」
| 宇宙殺人事件
| 00:01
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宇宙殺人事件(その18)
皆が俺を囲んでじりじりと近寄ってくる。これ以上のない不穏な空気というやつだ。
逃げたいが逃げられない、そんなストレスが最高潮に達した時、コスモスが皆の前に出た。
「怪しいから犯人なんてナンセンス、こんな事はやめましょう。それに彼、ちょっとケリーに似てるわ」
コスモスがそういってくれたことで鬼気迫ったこの場もなんとか収まろうとしていた。
少し平静が戻ってくると、自分が犯人だという意識がまた頭をもたげてくる。
自分が犯した罪を自分で告白する。
日常な瑣末な失敗から仕事上の大きなミスまで、大なり小なりあれ、この人間誰しも経験するであろう壁。人間としてこの壁を越えるのは当然の責務なのかもしれない。
しかし、己が殺人の犯人となるこの状況でその当たり前の事をしようとすると、高い高い精神力という名の城壁が立ち塞がろうとするのだ。
隠すか言うか、言うか隠すか、隠語か否か。
俺は……俺はそれでも人間であることをやめたくはなかった。
俺はコスモスに向かって言った。
「お前が殺ったんじゃねぇの?」
| 宇宙殺人事件
| 15:03
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宇宙殺人事件(その17)
暗闇となった三十秒間、俺は暇だったので光子力カッターをブンブンと振り回して遊んでいた。
カッターは昨週の金曜日に売り出されたばかりのもので、新宿で発売待ちの行列に並んで購入したものだった。その「買って来たばかりのオモチャ」がまさかこんなに切れるとは予想だにできなかった。
俺は暗闇で刃物を振り回すことの愚かさを知り、その軽率さを悔いず(くい〜ず)にはいられなかった。
後悔先に立たず、というのはまさに今のこの状況を言うのだろう、俺はげんなりした。
しかし……、しかし俺がやったということを皆に言うべきなのだろうか……。
そのような事を逡巡していると誰かが俺の方を見て言い出した。
「おい、こいつさっきから一言も喋ってないぜ」
「怪しいっすね」
「こいつから、吊るか……?」
吊る? 吊るって何をされるのだろうか、わからないがたぶん酷い事なのだろう。あれか、隠語か。
確かに俺は乗船してから一回も声を発してはいなかった。
しかしそれを理由に犯人扱いされてはたまったものではない。いや犯人ではあるのだが。
| 宇宙殺人事件
| 14:48
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宇宙殺人事件(その16)
元芋虫の死体はなにか巨大な力に切断されたように腰の部分で綺麗に分かれていた。
全員声も出なかった。しかし胃の内容物は盛大に噴出した。
「な、なんだこれはっ」
「うう、元芋虫さん……」
信じられなかった。こんなことが現実に、目の前で起きている事が。
そんななか元芋虫の死体の匂いを嗅いでいた風水師が突然、顔をあげた。はっとした表情だ。
「お、おい! これってさ、さ、殺人じゃねえのか」
そうだ、異常な事態すぎて気が付かなかったが、これは恐らく殺人だ。
しかも、ただの殺人事件というわけではない。ここは外界から隔絶された宇宙船で、船内にはこの五人しか乗っていない。
つまり犯人は……犯人はこの中にいる……ということになる。
その事に気が付いた時、俺は背筋に冷たいものを感じた。
俺の目の前にいる船長、風水師、芋虫、コスモス、スラングフルの五人はみな一様に信じられないといった驚愕の表情を見せている。
このなかの誰かが……ということか…?
知らないような顔をしているが全てを知ってる奴がこの中にいるということか……?
いや、違う。そんな筈はない。それは、全くの見当はずれだ。
そう思うのは犯人の目星がついていたからだ。
犯人は……、元芋虫を殺したのは………俺だ。
| 宇宙殺人事件
| 13:31
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宇宙殺人事件(その15)
「ところで、なんだか息苦しくないですか?」
言われて気が付いたが、少し呼吸が苦しいような気がする。風を切るように走って息切れしてるような感覚。
風……、そういえばさっきから肌に風を感じていた。宇宙船内で風…?それってちょっとおかしくないか……?
空気が…薄くなっている……!?
「ああっ!!」
元芋虫が声をあげた。先程、宇宙船外殻の大穴を修理した男だ。
その表情は、青ざめていた。
咄嗟に俺は駆け出していた、いや正確にはそこまで至らなかった、駆け出そうとしていた。
その瞬間、灯りが消え室内が真っ暗になったからだ。
「ど、どうした!」
皆が混乱している。
「待ったなしの状況だ」
船長らしき声はつとめて平静を装っている。
「病膏肓に入る、ということを私はハッキリと断言しておきたい!」
というニュアンスのことを誰かが発言していた気がしないでもない。
そんな事が三十秒程であったか、ほどなくして灯りは戻り、室内が明るくなった。そして……。
そこにはかつて芋虫と呼ばれていた男の体が真っ二つになって転がっていた。
| 宇宙殺人事件
| 16:16
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宇宙殺人事件(その14)
「昔ってさあ、もっと冬は寒かったよね……」
芋虫は天井を見上げながらポツリと言った。
大阪でも昔は一冬に二回ぐらいは雪が積もってたのに、今では冬に雪が降ることすら珍しくなった。
外に出るのが億劫なぐらいの寒さだったのが、最近は厚着したのが拍子抜けするような暖冬具合だ。
そういえば、昔は畑の肥やし(うんこ)もよくみかけたなあ。
休田の全面に水で溶かした肥やしが張られていて石を投げ入れたら飛び散ったっけ。
キャベツ葉っぱ部分のひとつひとつに上から丁寧に肥やしをかけてあったけど、あれは今でも意味がわからないなあ、なんで土の部分にかけないのだろうか。
そんなことを芋虫はつらつらと話した。
聞いた船長は一言だけの感想。
「それはちょっとにわかには信じられないですねぇ」
| 宇宙殺人事件
| 14:48
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宇宙殺人事件(その13)
その男をどのように表現したらいいのだろうか。
こうなんというか寝そべっている姿がなんというか、着色されたような黄色い体に所々黒い斑点があって、触覚らしきものがあって体節もある……。
そう、彼の姿はどうしようもなく芋虫に似ているのだ。
体の大きさが12センチぐらいしかないところなぞ、実にリアルだ。
事情を知らない人が彼を見れば、何の疑いもなく芋虫と思うだろう。
彼に比べればさきほどまで芋虫と皆に思われていた男は、何の能力もないただの……、ただの人間だ。
「これは……ちょっと信じていただけないかもしれないですが」
そう前置をして芋虫は語りだした。
| 宇宙殺人事件
| 07:18
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宇宙殺人事件(その12)
「船長、大変です!」
芋虫が息を切りながら廊下から飛び出してきた。
「どうした、何かあったのか。いもむ…」
そう言い掛けて船長は言葉を飲み込んだ。
『芋虫』……、彼には……、これだけは絶対に言ってはいけないと思ったからだ。
彼を傷つけたくない。船長の握った手には汗が滲んでいた。
「どうしたっていうの。芋虫の癖に」
コスモスが言った。
「ええ、それが船体外殻に大きな穴が開いていて……」
空気が流出している! 船長は青ざめた。
「そ、それで、大丈夫なのか」
「ええ、まあ修理しときましたけど」
「ふうん」
「じゃ、次の人」
船長は床に寝そべっていた男を指名した。
| 宇宙殺人事件
| 00:00
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宇宙殺人事件(その11)
美容室からは店内の灯りが漏れ出ていた。
「私は中を覗いたのさ、本当に何気なくね」
すると一人の美容師と思われる人がお客さんに剃刀をあてているところだった。
なんでもない光景かもしれないが冒険王には疑問があった。
それは通りがかった時は既に深夜であったからだ。
「ちょっとおかしいと思った。こんな時間に営業?ってさ」
「それでそれで?」と風水師
「おかしいと思って見たら気が付いたのさ」
「何に?」
「客だと思ってたのは客じゃなかった」
「へぇ」
客だと思っていたものは客ではなかった。
客に見えたのはマネキンだったのだ。
「練習用のマネキンで練習してただけだろ……」
船長はちょっとウンザリした表情だ。
肩をすくめる仕草は、そんなことはよくあることだろとでも言いたげだ。
冒険王は頬を膨らめて少し不満気だ。
「でもさ、剃ってたの、陰毛だったよ」
風水師は口をあんぐり開けて呟いた。
「きっつー」
| 宇宙殺人事件
| 10:02
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宇宙殺人事件(その10)
スラングフルは冒険王的な存在だった。
中央アジアの砂漠から東南アジアの密林まで、地球上の全ての秘境を探検したと言う噂だった。
15の大陸を制覇したのは彼が初めてだった(この記録はマッカーが27の大陸を制覇するまで破られなかった)ので彼を語る時は常に『十五大陸の覇者』の通り名で呼ばれていた。
宇宙の世紀がはじまって三百余年、地球を冒険し尽した彼が宇宙船内にいる。
ということは彼がついに宇宙の探検に乗り出した、ということであろうか。
これはささやかなスクープである。
「それは、私が会社帰りに堺筋本町の美容室の前を通りがかった時の出来事だった」
冒険王が口を開いた。
| 宇宙殺人事件
| 00:06
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宇宙殺人事件(その9)
その時、巨大な鋼板が破壊されるような大音響とともに船内が大きく揺れた。
「な。なんだ?」
皆、揺れの余韻の中で驚いた表情で固まっている。室内の備品がいくつか床に散らばって落ちた。
船のエンジンは停止中だ。自動回避が機能せず、何かにぶつかったということか。
俺は部屋の端に座っていた人物の顔を見た。この船の責任者たる船長の顔を。
「やばいね、これ」
船長は中年と若者の中間、いや年齢不詳といってもいいような不思議な顔の印象だ。
顔には白い髭と深い皺が刻まれていた。
「今ので何か致命的な損傷があれば、我々の命の保障はない」
そう言い切る船長の表情はどこか誇らしげだ。そしてこう続けた。
「皆さんの意見を聞きましょう」
「よし、では次は私の番だ」
そう言ったのは、あの『冒険の立役者』ジョン・ニコル・スラングフルだった。
| 宇宙殺人事件
| 12:21
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宇宙殺人事件(その8)
そこには飛行物体の全体像が描かれていた。
高速性を優先させたかのようなスマートな船体に、前方がゆるやかに傾斜し頭頂部で前方に突き出した形のブリッジ、船体両側複数の流線型エンジンナセルにはインテーク、エグゾーストノズルなどが多数描き込まれていた。
またパッチアンテナやPAレーダーは中央部上面、その他の通信用機器は下面に搭載されていた。
なかんずく側面のファンネルマークは船体上方のプロムナードデッキまでのラインを彩っており流麗を極めた。
これを見て芋虫は言った。
「(絵、上手すぎて)ひくわ〜」
風水師も言った。
「あんまり上手すぎると見てるほうが凹むわ……」
コスモスは両手の中指と親指の先をあわせてハートマークを作った。
| 宇宙殺人事件
| 00:41
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宇宙殺人事件(その7)
コスモスは友人のケリーを訪ねる為、下宿先のアリゾナからカリフォルニア州サンタモニカに向けて車で飛ばしていた。
そしてルート66を走行中、モハーヴェ砂漠付近で大きな光の塊が北側の空から接近するのを目撃した。
飛行する光は進路を塞ぐ形で降下し、彼女は慌てて車を止めその光る物体の動きを見守った。
物体は大きさ200メートルはあろうかという巨大なもので、宇宙船のような形をしていた。
また窓のようなものが表面に直列についているようだった。
「信じられないわ! 一体なんてこと! 神様!」 彼女はそう叫んだ後、意識を失った。
彼女が車の助手席で意識を取り戻したのは翌朝のことであった。
「これがその時目撃した飛行物体です」
コスモスはそう言うと皆に一枚のイラストを見せた。
| 宇宙殺人事件
| 00:39
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宇宙殺人事件(その6)
膝が震え、足はガクガクする、俺は怖くて芋虫の話をこれ以上聞いていられないと思った。
そんな俺を嘲笑うかのように横目で見る芋虫。
「まあ、あまり怖い話でもなかったかもしれませ…」
俺の横に座っていた女が、その芋虫のセリフの語尾をかぶせて消すようにな形で口を挟んだ。
「ですねぇ」
確かに言われてみるとそう怖い話でもないな、と俺も思った。
横を見ると女の顔は小学校なんかの花壇なんかによくあるコスモスのような色をしていた。
うつむく芋虫を尻目に、そのコスモスみたいな顔の女は続けた。
「次は私の番……ですね」
| 宇宙殺人事件
| 00:33
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宇宙殺人事件(その5)
振り返って声の主を見る。
御納戸色のベレー帽にゴーグル、特徴的なカーキ色の半ズボンの野戦服、そう……まぎれもなくイギリス兵だった。
そうだ、彼は紅茶にミルクを入れているではないか! 間違いない! 赤いネズミのマークは第7機甲師団であろうか。
しかし芋虫にはひとつの疑問……いや、疑念といってもよいものがあった。
それを黙っていようかとも思った、相手に失礼ではないか、とも。
だが芋虫は確認せずにはいられず、疑念は言葉となった。
「霊なので?」
「イエス」
「なるほどー」
芋虫は納得した。
| 宇宙殺人事件
| 17:41
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宇宙殺人事件(その4)
鉄のドアに顔をつけるとひんやりとしたものを感じた。
スコープを通して暗い深夜の廊下を覗く。
だんだん闇に目が慣れてくると、階段や踊り場、向かいの部屋の扉などが見えてくる。
それらに混じって一瞬赤いものが見えた。
なんだろう……。瞬きもせずにがんばっていると、どうやらそれは人影のようだった。
最初人影は止まっているように思えた。
しかし二、三秒後には静かに、そしてゆっくりだが少しづつ近付いていることに気が付いた。
近付くにつれ、その格好がどうやら昔の兵隊さんの格好であるように見えた。
芋虫は怖くなった、が、体は金縛りにあったように動かずそのまま影の兵隊さんが自分の方へ寄ってくるのを見続ける。
影は芋虫の目と鼻の先、ドア越しでこそあったが距離にして10センチもない所にまで接近し、スコープの視界が影で一杯になったところで、ふっ……と消えた。
その瞬間金縛りがとけ汗がどっと噴き出すのを感じた。
「今の……何だったんだ……」
芋虫が呆然としていると、背後から声がした。
「紅茶でもいかがかね?」
| 宇宙殺人事件
| 19:23
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宇宙殺人事件(その3)
芋虫が八王子で住んでいた5階建てマンションは、
大通りから少しばかり離れた閑静な住宅街にたっていた。
彼の部屋は四階にあったが部屋番は504号室だった。
これは大家が死に繋がる四という数字を嫌った為だが末尾に四が付いていたので意味がなかった。
その部屋で彼は夜な夜な不思議な現象に遭遇する。
深夜、彼がベッドで大人しく寝ていると玄関のドアノブを回す音がするのだ、それも毎日。
ドアには鍵が掛かっていたのでドアノブを回しても玄関は開かない。しかし、気にはなる、というより薄気味が悪い。
誰がこんなことをしているのか? 時間的にもおかしい。
ガチャ、ガチャ……。
「(今日もきやがった、もう我慢ならねえ。誰がこんなことをしてるのかカカッと確かめてやる。)」
彼は意を決し、こっそりドアスコープから外の様子を伺うことにした。
| 宇宙殺人事件
| 14:08
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宇宙殺人事件(その2)
先日、爺さんの元に一人の女が現れた。
彼女は今度新しく住む部屋の間取りや家具の配置を風水に従って決めてもらいに来たのだ。
「ふむ、ご結婚はなさっていない?ではお台所はここがいいな。
なに、玄関? 玄関のような場所は特に重要じゃから方位に気をつけたほうがいい……」
爺さんが相談にのってやってるとふと女が言った。
「あ。うちスペースコロニーだから方位とかないです」
「んー、では次は俺が話をしてやるぜ!」
芋虫みたいな男が言った。
| 宇宙殺人事件
| 00:02
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宇宙殺人事件(その1)
「宇宙怪談……?」
五人が乗った宇宙船は技術的なトラブルを起して宇宙を漂流していた。
漂流といっても救援隊への要請は済ませていたので不安感はあるものの船内は落ち着いていた。
「それもいいな、折角宇宙にいるんだから」誰かが言う。
「好し、ではワシから話してやろう哉……」
そう答えたのは目じりの下まで垂れてそうな立派な白い眉毛を生やした爺さんだった。
爺さんは風水師をやっている、という話だった。
| 宇宙殺人事件
| 18:59
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